わが国の 社会状況は、疾病構造の変化、高齢化社会の到来、少産少子社会、勤労婦人の増加、核家族化等々急激に変化しています。それに伴って医療に対する国民のニー ズが多様化し、看護は地域や病院において、かつてないほど課題を持ち、またその重要性が問われ、看護職の専門性を発揮し、質の高い看護サービスを提供する ことが期待されています。
そのためには、実践の場で抱えている課題に対して問題解決的アプローチをとったり、各種研究方法を駆使して研究し、研究の成果を活用することが非常に重要となってきます。
しかし従来、看護の研究者養成が少なく、研究を指導できる人材が不足し、実践の場における研究活動は活発とはいえない状況がありました。また、研究の成 果あるいは事例研究・症例研究等を発表できる学会が限られていて、さらに学会発表後に原著を掲載できる学会誌等が数誌で、掲載するのが難しい状況でした。
以上のような理由で、地域および病院等第一線で活躍している人々の研究成果は、すぐれた視点からの研究にもかかわらず、公表されることが少なかったと思われます。
そこで、この度、地域や病院で活動している人々が一堂に集まり、研究成果を自由に発表し、お互いに討議して刺激し合い、問題提起や問題解決ができ、次の研究活動へつなげられるような会として、「北日本看護学会」を設立し、発表の場や投稿の機会を設けることになりました。
今まで、東北・北海道地区には、地区独自の学会はありませんでした。今回設立する学会は、事務局を山形大学医学部看護学科におき、東北・北海道地区の地 域、病院および学校関係の、保健師・助産師・看護師・准看護師等を中心として組織します。そして、学術集会の開催、学術講演会、学会誌の発行、関係学術団 体との連絡、連携等の事業を行います。
同じ想いを抱いた大勢の仲間が集い、研究活動を活性化して看護の質を高め、看護学の発展に貢献しようとするものです。
みなさまのご参加を心からお待ち申し上げます。

前北日本看護学会理事長
高橋 みや子

(元 山形大学医学部看護学科)